最終更新日: 2026年7月23日
この記事は、赤ちゃんがNICU(新生児集中治療室)に入院することになったご家族に向けて、入院費用の目安と使える助成制度、NICUとGCUの違い、そしてNICUのある病院(周産期母子医療センター)の探し方を、公的情報にもとづいて整理したものです。金額や制度は自治体・状況によって変わるため、目安として読み、最終的な確認はお住まいの自治体や病院の窓口で行ってください。
「1日8万円」といった数字を目にして不安になる方も多いと思いますが、赤ちゃんの入院には自己負担を大きく減らす制度が複数あります。まずは落ち着いて、順番に確認していきましょう。
NICU(新生児集中治療室)とは?GCUとの違い
結論として、NICUは早産・低出生体重・呼吸の助けが必要などの理由で、集中的な治療や見守りが必要な赤ちゃんのための治療室です。回復してくると、退院に向けてGCU(継続保育室)に移ります。どちらも医療費の助成の対象になります。
NICUは「Neonatal Intensive Care Unit(新生児集中治療室)」の略です。人工呼吸器や保育器、呼吸・心拍のモニターなどを備え、24時間体制で赤ちゃんの全身を管理します。予定より早く生まれた赤ちゃんや、小さく生まれた赤ちゃん、生まれてすぐ呼吸や循環のサポートが必要な赤ちゃんなどが対象です。
NICUとGCUの違い(役割と移る流れ)
NICUとGCUは、赤ちゃんの回復の段階によって役割が分かれています。
| NICU(新生児集中治療室) | GCU(継続保育室・回復期治療室) | |
|---|---|---|
| 役割 | 集中的な治療・全身管理 | 回復期の継続ケア・退院準備 |
| 対象 | 治療が必要な急性期の赤ちゃん | 状態が安定してきた赤ちゃん |
| 過ごし方 | 保育器・医療機器での管理が中心 | 授乳や体重増加を進め、在宅に近づける |
多くの赤ちゃんは「NICU → GCU → 退院」という流れをたどります。GCUは「NICUを卒業した赤ちゃんが、おうちに帰る準備をする場所」とイメージすると分かりやすいです。
どんなときにNICUに入る?
NICUに入るのは、たとえば次のような場合です(入室するかどうかの判断は、赤ちゃんの状態を見て医師が行います)。
- 早産(予定日より早く生まれた)で、体の機能が未熟なとき
- 低出生体重(小さく生まれた)で、呼吸や体温の管理が必要なとき
- 生まれてすぐに呼吸や循環のサポートが必要なとき
- 黄疸や感染症など、治療や経過観察が必要なとき
「自分のせいではないか」と感じてしまう方もいますが、NICUは赤ちゃんが元気に成長するための場所です。医療的な判断は主治医に委ね、ご家族は次に説明する費用や制度の準備を進めていきましょう。
NICUの入院費はいくら?1日・1ヶ月の目安
結論として、NICUの入院費は赤ちゃんの状態や期間によって変わりますが、助成前の総額の目安として「1日あたり8〜10万円ほど」「1ヶ月で200〜300万円ほど」という数字が知られています。ただしこれは制度を使う前の総額で、実際にご家庭が支払う自己負担はずっと小さくなります。
1週間・1ヶ月の費用の目安(助成前の総額イメージ)
NICUでは高度な医療機器と手厚い体制で赤ちゃんを管理するため、保険診療としての医療費は高額になります。1日8〜10万円という目安で単純計算すると、1週間で50〜70万円ほど、1ヶ月で200〜300万円ほどの「総額」になります。
この数字を見ると驚いてしまいますが、これは「窓口でそのまま請求される金額」ではありません。次の2段構えで、実際の負担は大きく下がります。
「高額そう」でも実際の負担が小さくなる理由
赤ちゃんの入院費が最終的に小さくなるのは、次の2つの仕組みが重なるからです。
- 公的医療保険が適用される: NICUでの治療は保険診療なので、まず自己負担は原則の割合(乳幼児は制度によりさらに軽減)まで下がります。高額になった場合は高額療養費制度で上限が設けられます
- 乳幼児医療費助成・養育医療などの助成が上乗せされる: 保険適用後に残った自己負担分を、自治体の制度がさらに助成します
この結果、実際の自己負担は数万円程度、自治体や条件によってはほぼ0円になることもあります。次の章で、それぞれの制度を具体的に見ていきます。出産や産後に使えるお金の制度全体は出産のお金ガイドにまとめています。
NICUの入院費に使える制度(自己負担を大きく減らせる)
結論として、NICUの入院費には「乳幼児医療費助成」「未熟児養育医療(養育医療給付)」「高額療養費」「医療費控除」を組み合わせて使えます。まず、加入している健康保険とお住まいの自治体の窓口を確認するのが出発点です。
乳幼児医療費助成(自治体の制度)
乳幼児医療費助成は、子どもの医療費の自己負担分を自治体が助成する制度です。多くの自治体で、赤ちゃんの入院・通院の自己負担が大きく軽減され、無料になる地域もあります。
助成の内容(対象年齢・自己負担の有無・所得制限)は市区町村によって異なります。赤ちゃんが生まれたら、健康保険への加入とあわせて、お住まいの市区町村で「子ども医療証(乳幼児医療証)」の手続きをしておきましょう。
未熟児養育医療給付(養育医療)
未熟児養育医療は、母子保健法にもとづき、身体の発育が未熟なまま生まれた赤ちゃんが、指定された医療機関で入院医療を受けるときの医療費を助成する制度です。医師が入院養育を必要と認めた場合が対象で、出生体重が特に小さい場合などが目安になります。
ポイントは次のとおりです。
- 窓口: お住まいの市区町村(保健センター等)に申請します
- 対象: 指定養育医療機関(都道府県などが指定した病院)での入院医療費
- 自己負担: 世帯の所得に応じた自己負担が定められていますが、多くの自治体では乳幼児医療費助成と組み合わせることで、その分も軽減されます
制度の詳細や必要書類は自治体によって異なるため、NICUのある病院のソーシャルワーカーや、お住まいの自治体の母子保健の窓口に相談すると、手続きを案内してもらえます。
高額療養費・限度額適用認定証
高額療養費制度は、公的医療保険が適用される医療費の自己負担が、ひと月の上限額を超えた分を払い戻す仕組みです。NICUの入院のように保険診療の自己負担が高額になる場合に効きます。
さらに、事前に「限度額適用認定証」を用意しておくと、窓口での支払いを最初から上限額までに抑えられます。仕組みの詳細は高額療養費制度の解説ページを参照してください。
医療費控除
その年に世帯で支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告で医療費控除を受けられます。NICUの入院で自己負担が発生した場合や、通院・面会の交通費なども対象になることがあります。領収書や交通費の記録を保管しておきましょう。詳しくは医療費控除の解説ページをご覧ください。
「入院費が払えない」と感じたら
高額な総額を見て不安になったときは、次の順で確認すると落ち着いて対処できます。
- 限度額適用認定証を早めに申請する(保険診療分の窓口負担を上限までに抑えられる)
- 乳幼児医療費助成・養育医療の手続きをする(自治体の窓口・病院のソーシャルワーカーに相談)
- 病院の会計・相談窓口に支払い方法を相談する(分割や、助成の申請中の扱いについて案内してもらえる)
制度の申請には期限や必要書類があり、地域差もあります。「あとで手続きすれば助成はさかのぼって適用される」ケースが多いので、まずは領収書を保管し、早めに窓口に相談することが大切です。
[公式LINE] またなび公式LINEでは、出産・産後に使えるお金の制度や申請のタイミングを、お住まいや予定日にあわせてお届けしています。
出生直後の手続き — 保険証・医療証が間に合わないとき
結論として、出生直後は赤ちゃんの保険証や医療証が手元にないことがほとんどですが、後から手続きをすれば助成はさかのぼって適用されるのが一般的です。あわてず、順番に進めましょう。
赤ちゃんが生まれてすぐNICUに入院した場合、次の手続きが必要になります。
- 出生届の提出(生後14日以内)
- 赤ちゃんを健康保険に加入させる(勤務先または国民健康保険の窓口)
- 子ども医療証(乳幼児医療証)・養育医療の申請(お住まいの自治体)
これらが入院に間に合わないことはよくあります。その場合は、窓口でいったん自己負担分を立て替え、保険証・医療証がそろってから精算するのが一般的な流れです。「NICUの費用は保険証が間に合わないと全額自己負担になるのでは」と心配する方が多いですが、後から手続きをすれば戻ってくることが多いので、領収書は必ず保管しておきましょう。手続きの具体的な順序は、病院のソーシャルワーカーや自治体の窓口で確認できます。
NICUの面会・退院・入院期間の目安
結論として、NICUの入院期間は赤ちゃんの状態によって数日から数か月まで幅があります。多くのNICUは家族の面会や搾乳の受け入れ体制を整えており、退院はGCUを経て、体重・呼吸・授乳が安定してからになります。
面会・搾乳・カンガルーケア
多くのNICUでは、ご家族が赤ちゃんに会えるよう面会の時間や方法が設けられています。お母さんの母乳を届ける搾乳のサポートや、赤ちゃんを肌で抱く「カンガルーケア」を取り入れている施設もあります。面会の頻度・時間・付き添いの可否は施設ごとに方針が異なるため、担当の看護師に確認してください。
退院の目安と、退院後のフォロー
退院の目安は、赤ちゃんが自分で呼吸を保て、体重が順調に増え、授乳(母乳・ミルク)が安定してくることです。NICUを出た後もGCUで過ごし、在宅で問題なく過ごせる見通しが立つと退院になります。退院後は、乳幼児健診や、必要に応じて在宅でのケア・フォローアップ外来につながります。
NICUのある病院=周産期母子医療センターとは(総合・地域の違い)
結論として、NICUは主に「周産期母子医療センター」に整備されています。センターには「総合」と「地域」があり、総合はNICU(新生児集中治療室)とMFICU(母体・胎児集中治療室)を備えることが必須要件です。地域は新生児医療の体制を持ちますが、NICUを備えるかどうかは施設によって異なります。
周産期母子医療センターは、リスクの高い妊娠・出産や、生まれた赤ちゃんへの高度な医療に対応するために、都道府県が指定・認定する医療機関です。厚生労働省の指針にもとづいて整備されています。
総合周産期母子医療センター
総合周産期母子医療センターは、母体・胎児集中治療管理室(MFICU)と新生児集中治療管理室(NICU)を備えることが指定の要件になっています。ハイリスクの妊娠・出産と、生まれた赤ちゃんへの高度な新生児医療の両方に対応できる、地域の中核的な施設です。総合周産期母子医療センターは、定義上NICUを備えています。
地域周産期母子医療センター
地域周産期母子医療センターは、産科と小児科(新生児医療を担当)を備え、比較的高度な周産期医療を行う施設として認定されます。厚生労働省の指針では、新生児病室を持ちNICUを設けることが「望ましい」とされており、NICUを備えるかどうかは施設によって異なります。 提供できる新生児医療の水準は各施設で設定され、都道府県の医療計画などで示されます。
NICU・周産期センターのある病院の探し方
NICUのある病院を探すときは、まず「総合・地域周産期母子医療センターに指定・認定されているか」が手がかりになります。当サイト「またなび」では、全国の産科・産婦人科・助産所の一覧で、都道府県ごとに施設を確認でき、「周産期センター」で絞り込んで、総合・地域周産期母子医療センターの指定を受けた施設を探せます(施設の指定は厚生労働省の一覧にもとづく事実の表示で、優劣を示すものではありません)。
なお、実際にNICUがあるか、受け入れ状況はどうかは、施設や時期によって変わります。妊娠中から備えたい方は、健診を受けている医療機関や地域の周産期センターに相談しておくと安心です。産院えらび全体の進め方は産婦人科・産院の選び方も参考にしてください。
[施設をさがす] 全国の周産期母子医療センターを都道府県から探す
よくある質問(FAQ)
Q. NICUの入院費の自己負担はいくらですか?
助成前の総額は1日あたり8〜10万円ほどが目安とされますが、乳幼児医療費助成・未熟児養育医療・高額療養費などを使うと、実際の自己負担は数万円〜ほぼ0円になることもあります。金額は赤ちゃんの状態・入院期間・お住まいの自治体・世帯の所得によって変わります。
Q. NICUの入院費はいつ払うのですか?
多くの病院は月末で締めて翌月に請求します。退院時に概算を教えてもらえる病院もあります。保険診療分は限度額適用認定証を事前に用意しておくと、窓口での支払いを自己負担の上限までに抑えられます。
Q. 保険証が間に合わないときはどうすればいいですか?
出生直後は赤ちゃんの健康保険証や医療証が手元にないことが多いですが、後から加入・申請の手続きをすれば、助成はさかのぼって適用されるのが一般的です。いったん立て替え、領収書を保管しておきましょう。
Q. NICUにはどんな赤ちゃんが入りますか?
早産で生まれた赤ちゃん、小さく生まれた赤ちゃん、呼吸の助けが必要な赤ちゃんなど、集中的な治療や見守りが必要な場合に入ります。入室するかどうかの判断は医師が行います。
Q. NICUとGCUの違いは何ですか?
NICU(新生児集中治療室)は集中的な治療を行う場所、GCU(継続保育室・回復期治療室)はそこから回復してきた赤ちゃんが、退院に向けて過ごす場所です。多くはNICU→GCUを経て退院します。
Q. NICUにはいつまで入院しますか?
赤ちゃんの状態によって数日から数か月まで幅があります。体重・呼吸・授乳が安定し、家庭で過ごせる見通しが立つと退院になります。
この記事は制度・費用の一般的な解説であり、医療的なアドバイスを提供するものではありません。赤ちゃんの治療に関することは主治医に、制度の詳細はお住まいの自治体・加入している健康保険の窓口にご確認ください。


